中部企業、24年春大卒採用21%増 スギ薬局は1.8倍

日本経済新聞社と日経リサーチがまとめた2024年春入社の採用計画調査(最終集計)によると、中部企業の大卒採用予定人数は23年春実績と比べ21%増える見込みだ。新型コロナウイルス禍が収束しつつあり、トランコムが倍増、スギ薬局は1.8倍増を予定するなど非製造業で人手を確保する動きが活発だ。製造業では自動車の電動化やデジタル化を見据えた人材を中途採用を含めて積極的に採用する。
調査は日経リサーチの協力を得て愛知、岐阜、三重に本社を置く主要338社を対象に2月7日〜4月4日に実施。164社から回答を得た。
非製造業は23年春実績と比べ25%増えた。同13%増の製造業と比べ非製造業は採用数の伸びが顕著だった。採用数が最も多かったのはドラッグストア大手のスギ薬局で1.8倍となる850人の採用を計画している。
物流大手トランコムは23年春の実績と比べほぼ倍増の80人。主力事業で、荷主企業とトラック事業者を仲介する事業が好調なほか物流センター運営も堅調に推移しており、事業拡大に合わせて採用も増やす。
対面面接を重視
新型コロナ禍に見舞われた間も本来なら採用数は増えるはずだったが「オンライン面接が中心になったことで人材や人物像を見極めていくことが難しくなり、企業風土にあった人をとるのが困難だった」(同社)として対面面接を重視する。
保育園や児童館の運営を手がけるJPホールディングスはグループで2割増を見込む。リモートワークからオフィスへの出勤が戻り学童クラブの需要増が期待できる。児童を見守る職員の採用を増やすほか、保育園で英語や音楽などのプログラムも強化しており専門人材の採用に力を入れる。
アルペンは店舗スタッフ拡充のため3割増の110人を採用する計画だ。同社は近年、都市部への出店に力を入れており22年4月には東京・新宿にグループ最大級の店舗を開業した。

金融機関の採用意欲も旺盛だ。十六フィナンシャルグループ(FG)は21年に持ち株会社化し、街づくりを担う専門会社を設けた。銀行業務に限らず「より多様な人材をとりたい」と話す。社員の知人や友人を介した「リファラル採用」も取り入れている。
製造業では新型コロナ禍で採用を抑えていた企業も多い。リンナイはほぼ倍増の134人を見込む。新型コロナ禍によるサプライチェーン(供給網)の混乱が業績の重荷となり、採用人数を抑えていたが「ここ数年とれなかった人員を充足したい」(担当者)。
電動化など備え
電動化やデジタル化、海外事業の拡大投資に備えた人材確保に踏み切る企業も出てきた。
イビデンは14人多い132人の採用を予定している。岐阜県で半導体関連部品の「ICパッケージ基板」を生産する新棟を建設中だ。「中長期では高機能ICパッケージの需要は続くとみており、エンジニアをはじめ人材が必要」としている。
トヨタ紡織は前年実績の1.5倍となる155人を計画する。同社は主に自動車のシートの生産を手がけているが、車内空間の新たな価値の提供を模索している。新卒採用を増やし次世代のサービス提供に備える。
厨房機器大手のホシザキはグループ全体で約170人の採用を予定する。海外事業の拡大を見据え23年春よりも4割増やす。「若年層の雇用の流動性が高まっていることも考慮した」
新卒で補えない分や即戦力確保へ中途採用を増やす企業も増えている。中部企業は中途採用を23年度に21%増やす。22年度は11%の実績だった。調査では中途採用を増やす狙いとして既存事業の拡大(62%)をあげた会社が最も多かったほか「デジタル化対応などで専門人材が必要」(36%)といった声もあった。
アイシンは大卒の採用が前年実績と比べて9%減の184人の見通しだが、中途採用見込みと合わせるとほぼ同数となる計画。「電動化やソフトウエアなど将来領域の育成に向け、即戦力となる人材を獲得する」としている。
三菱UFJリサーチ&コンサルティングの塚田裕昭主任研究員は「非製造業は新型コロナの影響で運営が抑制的だったが、消費の拡大期待から採用を増やしているとみられる」とした上で、「人手不足感は高い水準が続いており、企業は選んでもらえるように魅力向上につとめることが重要だ」と指摘する。

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日本経済新聞
2023年5月11日RT(12)
見 守(KEN MAMORU)

見 守(KEN MAMORU)

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