おひとりさまのリスクに備えるさまざまな制度を知っておこう ~前編~

おひとりさまは、1人の自由がある反面、想定外の出来事が起こった場合のリスクに非常に弱いというデメリットがあります。
今回は、おひとりさまのリスクと、これに対応できる制度を前編後編の2回にわたってお話しします。
病気になった時は大丈夫? 入院の保証人や医療行為の同意とは?
普段あまり病気になったことがない方、もしくは毎年の健康診断で引っかかったことがない方であれば、あまり気にしたことがないかもしれませんが、通常入院するときは、連絡先や保証人などを記載します。
日帰り手術など病状が深刻でなければ、友人を連絡先と記しておいても構わないでしょうが、入院が長期化することが予想されたり、深刻な病状の時には、保証人の記載が求められます。
入院すれば、病状が急変して、自分の意思を本人が明らかにできない時、治療方法を決定する場合の医療行為の同意や、お金が支払えない時にどうするのか、病院としても担保が必要だからです。
働いている親や兄弟がいる場合は良いかもしれませんが、晩婚化や少子化で、親が高齢だったり、ひとりっ子で兄弟がいなかったりするなどの状況は珍しいことではありません。おひとりさまの場合、連絡先や保証人の名前を書く欄にかける人がいないということが起こりえます。
万が一、延命行為が必要になった時に、なし崩し的に延命してもらうのかはその状況になってみないとわかりませんが、他人の医療行為の同意を明確に判断できる人はいません。
そんな時のために、公正証書で尊厳死宣言(※1)やエンディングノートに自分の意思を明示するなど、おひとりさまの場合、自分が動けなくても、本人の希望が明確にわかるようにきっちりとわかるように示しておくことが非常に大事です。
おひとりさまの安否確認。人に頼る? 物に頼る?
2020年からの、新型コロナウイルス感染予防のための自粛によりおうち時間が増えました。それにより、おひとりさま生活が充実している方でも、孤独に悩んだ方がいらっしゃるかもしれません。
もし自分が誰にも知られず倒れてしまったら、誰が気付いてくれるのか、おひとりさまにはこんなリスクもあります。
最近は、離れた家族のために、セキュリテイ会社が見守りサービスをしたり、ポットの使用状況がネットでわかったり、水道の使用量や電気の使用量で通常の生活をしているかわかる仕組みなど、お金をかければ、誰かを見守るということは可能になっています。
ただ、単身世帯が増えている首都圏では、それほど仲良くしている親族がいないというケースは多々あります。
孤独死は高齢者だけではありません。若い世代でも自殺などに気付いてもらえず、近隣の住民により「異臭がする」という通報で発見される、これは珍しくないのです。

図表1

ひとり暮らしの場合、約4割の世帯で、孤独死を身近に感じていることがわかります。人が死ぬということは、その後の事務手続きは大量です。
「親族や友人への連絡」「お葬式や埋葬」「住まいの片づけ」「毎月支払いをしている携帯や公共料金の支払いおよび解約」「SNSアカウント」「相続手続き」など、簡単に列挙しただけでもこれだけあります。
SNSについては、「デジタル遺産」としてニュースになることも多くなりましたが、SNSはそもそもプライベートな内容ですから、死亡時に削除してほしいのであれば、手続きしてくれる相続人がいるのか、自分に何かあった場合の「手続きができる人と準備」を想定しておくべきでしょう。
住まいは賃貸派? それとも持ち家派?
ずっとおひとりさまの方もいれば、離婚や死別などでおひとりさまになったケースなど、おひとりさまになる経緯はさまざまでしょう。
子どものいないご夫婦で配偶者が死亡した後のおひとりさまだったり、兄弟やおいやめいと住んでいるおひとりさまだったり、もしくは籍は入れていないものの、パートナーと住んでいるおひとりさまだったりと、同居する人が一般的な形態の家族ばかりとは限りません。
そんな時に特に気を付けたいのは、名義や契約者、そして修繕費や管理費、固定資産税など、誰が払っているかということです。元気でいるときには、名義が誰であろうと、誰が経費を支払っているかは気にならないかもしれません。
しかし、名義人が倒れたり、費用を支払うことができなくなったりするということもあります。
賃貸の場合、契約者が死亡してしまうと、実際に居住していることで保護はされますが、そのまま変わりなく同居人が住み続けることができるのかどうかは、ケース・バイ・ケースとしかいえません。
持ち家の場合でも、もし親族が老後の面倒を見てくれる代わりに、費用を出してほしいと了承し、家を購入した時など、名義や費用の支出には注意しておきましょう。
親族間の口約束では、権利関係はあいまいになりがちです。この場合も、もし登記や領収書が親族の名前で書かれており、相続が発生し、相続人から退去を促された場合、いくら「住居の頭金は出した」など口頭で説明しても、登記が親族であれば、親族間での争いになってしまうかもしれません。
後編で引き続き、おひとりさまのリスクを考えていきます。
執筆者:當舎緑
社会保険労務士。行政書士。CFP(R)。

ファイナンシャルフィールド編集部

2021年7月26日RT(3)
見 守(KEN MAMORU)

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